ジャパンマイコンカーラリー2020全国大会 準優勝(Advanced) 熊本工業高等学校
マイコンカーラリー(Micom Car Rally : MCR)とは、ロボット競技大会の一つであり、マイクロコンピュータ(Micro computer、略してマイコン)を搭載したロボット(模型自動車)が、コースを自律制御(ロボット自ら動く方式)で走りタイムを競う競技です。
ジャパンマイコンカーラリー2020全国大会のAdvanced部門で準優勝を果たされ、この春から社会人となられた熊本県立熊本工業高等学校(当時)の村上友亮さんにお話をうかがいました。
― ジャパンマイコンカーラリー2020 Advanced部門準優勝おめでとうございます。新社会人としてお忙しいところお時間をいただきありがとうございます。まずは、この大会を目指したきっかけを教えてください
「高校生になり何か新しいことにチャレンジしようと考えていた時、マイコン部があることを知り、面白そうと思い最初は興味本位で入部したのがきっかけです。」
― 部活動の中でご苦労されたことはどんなことでしょうか
「1年生の時、県大会前日に基板が燃えてしまい夜遅くまでマイコン部顧問の中村先生のご指導のもと作業をしました。結果には繋がりませんでしたが一つ一つの作業を丁寧に正確にすることの大切さを学びました。
また、部長になりマイコン部全体でレベルアップできるよう後輩にも分かりやすく説明するのに苦労しました。」
― 2020年の大会に出場して、一番印象に残ったことは何でしょうか
「決勝トーナメントを勝ち進んでいく際の駆け引きです。タイムを出すか、安定性を求めるのか…マシンの設定値に正解はないのですが、小さなミスが大きな影響を及ぼしてしまうので相手との駆け引き、普段の練習にはない独特の大会でしか味わえない緊張感が印象に残っています。」
― それはマシンの制作過程を越えた、大会に出場しなければわからないものですね。
― 大会に出場する中で、特に気を付けて対策したことなどはありますか
「タイヤとコースの接地具合がその日その日で変わってしまうので、車検直前まで四輪ともに同じ荷重が加わるように調整しています。また、タイヤに巻くシリコンシートを過去の経験からいつ変えれば良いか全国大会前から計画を立てベストな状況にしました。
最後は『やるべきことはやったので後は神に任せよう!!(天に任せよう!)』と(昨年の全国大会に出場された卒業生の)池田先輩から頂いた交通安全のお守りをセンサーバーに貼って大会に挑みました。」
― 経験値を活かした頭脳戦でもあるんですね。3年間の集大成となった大会だったのですね。お守りも効き目がありましたね!
― 村上さんがmaxon製品をご採用いただいた理由をお聞かせください
「先輩方の世代から代々使われているということなのでmaxonを使用させていただいてます。」
― ありがとうございます。村上さんが実際にご使用されての使用感など如何でしたでしょうか
「三年間一度も壊れることがなく、また、マシンの設定に合わせて正確なトルク制御ができたため、マシンに最適なトルクを見つける細かい調節が可能でした。」
― マシン制作の上でモータに要求することは何でしょうか
「シャフトの強度です。マシンがコースアウトした際に、曲がってしまう可能性がありましたが、maxonのモータでは1度も曲がることがありませんでした。
また、出力が変わらないことも必要です。どんな優れたモータでも使用するとモータ出力が低下します。マイコンカーラリーは大会時に1番良い状態で挑みたいので大会結果とモータの性能は切っても切れない関係にあります。その点、maxonさんのモータは心配が要らなかったです。」
― 制御回路(モータコントローラ)は、自作ですか
「自作です。熊本工業高校マイコン部伝統の基板製作があり最初の難関?!として新入部員同士互いに協力しあいながら基板製作に取り組んでいます。」
― 今大会で準優勝されたことで、何か変化などございましたか
「後悔をしない考え方に変わりました。全国大会の決勝戦では、マシンの設定値を上げないと負ける、上げたらコースアウトする確率が高い、という選択肢のどちらを選ぶか、マシンの性能を自分が知っているからものすごく悩みました。結果は、準優勝でしたが、あの時ああしておけば良かった、と、やらない後悔をしない考え方に変わりました。」
― 今後の展望や目標をお聞かせください
「私は、今年の春から新社会人として、慣れない環境で働くことの大変さを日々実感しています。これからも支えてくださる周りの方々に、感謝の気持ちを忘れず一日一日を大切にしていきたいと思います。
また、県大会・九州大会など後輩の成長した姿を見に行きます。」
村上さんの新天地でのご活躍には、マイコンカーラリーを通じて培われた判断力や思考力、そして、後悔をしない考え方が基軸となることでしょう。その精神を受け継いでゆく熊本工業高校さんのこれからのご活躍にも期待しています。