このコラムは、モータについての知識がほとんどない人に向けたものです。
（そんな人がこのページにたどり着いているかどうかは甚だ疑問ですが。）
常識の羅列とも言えます。備忘録にどうぞ。

モータとは
日本語では「電動機」。電気的エネルギーを機械的な回転エネルギーに変換する装置です。
たとえば、電球は電気を使って明かりになる。それと同様に電気を使って回転するという仕事ができるのがモータです。

単位とは
単位とは、ある事象を数値的に表すためのものです。
メートル、グラムなど、また、￥（YEN）や＄（ドル）も単位です。
工業製品の場合、世界共通の単位（国際単位 = SI 単位と言う）があり、現在では、SI 単位を使用することが大前提になっています。
そのSI単位であるグラムに”キロ”や”ミリ”がつく、メートルに”キロ”や”センチ”がついています。

回転数とは
単位の中には、どれくらい早く回るのかという単位もあります。
単位時間あたりの回転数。通常は1分間に何回回転するかで示します。一秒間で何回回転するかで示すこともあります。
たとえば、ミキサーの回転数なんて、日常では気にしていないかもしれませんが、実際には決められたスペックでどこかに表示されているのかもしれません。

[rpm] = [revolution per minute]　1分間に何回転するか
[rps] = [revolution per second]　1秒間に何回転するか
例：1 [rps] = 60 [rpm]
6,000 [rpm] = 100 [rps]
[rpm] [rps]はSI単位ではないですが、直感的にわかりやすいため一般的にはこの単位が用いられています。

回転数のSI単位は[rad/s] = [ラジアン/秒]。1 [回転] = 360 [°] = 2π [rad/s]。
6,000 [rpm]をSI単位に換算すると6,000 [rpm] ÷ 60 [sec] = 100 [rps]。
100 [rps] × 2π [rad] = 200π [rad/s]。

換算表

	[rpm]	[rps]	[rad/s]
1 [rpm]	1 [rpm]	1/60 [rps]	2π/60 [rad/s]
1 [rps]	60 [rpm]	1 [rps]	2π [rad/s]

maxonのカタログ表示はすべてrpmですが、ワットを出したいとき、ワットはSI単位なので、rad/sに直して計算する必要があります。そんな時に、この換算表の知識があれば問題ありません。

力（ちから）について
慣例的には [gf]（グラム重と読む）、[kgf] であらわします。これははかりを押したときに表示される値です。なお [gf] の ” f ” が省略されることがしばしばあるので注意。
SI 単位では [N]（ニュートンと読む）が用いられます。
重力加速度 9. 8
9.8 [N] = 1 [kgf] 。
単位　[N] [kgf] [gf]
よって体重50 kg の人が体重計に乗った場合、50 [kg] × 9.8 = 490 [N] の力で体重計を押していることになります。

換算表

	[gf]	[kgf]	[N]
1 [gf]	1 [gf]	1/1000 [kgf]	1/9,800 [N]
1 [kgf]	1,000 [gf]	1 [kgf]	9.8 [N] = 10 [N]
1 [N]	1,000/9.8 [gf] = 100 [gf]	1/9.8 [kgf] = 0.1 [kgf]	1 [N]

トルクとは
トルクとは日本語では回転力と言い、例えば、ドアノブや自動車のステアリング・ホイールを回す力のことです。
ドアノブもステアリング・ホイールも先端（外側）を回した方が軽く回り、中心に近いところを回す方が重くなります。
ある支点からの距離とそこに加わる力をかけたものをトルクと言います。

トルク＝力×距離

ドアノブまたはステアリング・ホイールを回すための力がトルクであり、そのトルクは一定であり、支点からの距離が変われば必要な力は異なってきます。

電気的エネルギーと機械的エネルギー
電気的エネルギーを日本語では「電力」と言い、機械的エネルギーのことは「出力」と言います。
どちらも「Ｗ（ワット）」という単位で表示します。
電力は　電圧×電流
出力は　トルク×回転数
で出すことができます。ただし、その際、SI単位にする必要があります。

maxonモータが高効率と言われるのは
maxonコアレスモータは、その構造により、コア付きのモータに比べて、電力（W）を入力して出力（W）した時に生じるロスを抑えられます。それゆえ、高効率と言われています。
より詳しいことをお知りになりたい方は、コラム：マクソンDCモータの優れた特性 をご一読ください。

（HASH）