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コラム

電源の電圧降下とモータ出力特性の関係

maxonのモータは、バッテリー等電池を電源として駆動されることも多く、その際に問題となる電源の電圧降下の影響について、簡単な実験例を以下にお示しします。

a) 実験で用いた部品

  • 実験では、下図の12V仕様のブラシ付きDCモータを利用しました。外径22mm、長さ34.2mmです。

  • 上図のモータの後部に下図のエンコーダを取り付けました。4逓倍前の分解能は1024です。A相、B相、I相と、これらの反転信号を出力します。

  • 電源には、以下2点を用意しました。
    • 市販の単3形アルカリ乾電池を2個直列に接続したもの(3.09V
    • 出力を上記電圧に設定した定電圧電源

また、上記の電池に複数の異なる固定抵抗を接続し、電池の端子電圧を都度測る要領で、下図の出力特性を確認しました。

b) モータを定電圧電源で駆動した場合の無負荷回転数

上図の結果をうけ、定電圧電源を3.09Vに設定し、この電圧をモータ端子に直に印加した際の無負荷回転数を測りました。モータ出力軸が1回転するごとに、I相が1パルス出力するので、今回の実験ではI相のパルス周期を回転数に換算する方法をとりました。結果は、3090rpmでした。

c) モータを電池で駆動した場合の無負荷回転数

つづいて、モータを電池で駆動した場合の無負荷回転数を同様な方法で測りました。結果は、3050rpmでした。定電圧電源で駆動した場合とくらべ、回転数が約1%下がっています。

回転数が低下した理由

定電圧電源の出力電圧を変化させながら、モータの無負荷回転数を測ると、以下のようなグラフを得ることができます。DCモータでは、無負荷回転数とモータ端子の印加電圧が比例関係にあり、maxonのカタログでは回転数定数(kn [rpm/V])として記載しています。

今回の実験では、定電圧電源でモータを駆動した場合も、電池でモータを駆動した場合も、消費電流は約40mAでした。電池から約40mA流出したことで、電池の端子電圧が約1%低下し、つれてモータの無負荷回転数も約1%低下したと考えられます。

今回は無負荷状態で実験したため、回転数は約1%低下した程度ですが、負荷の大きな用途では電圧降下も大きく、下図のように当初想定した回転数やトルクを得られないといった事象が起こりえます。モータ選定の際はご注意ください。