真空環境下で使われる位置決めステージ~maxonの特注開発製品について
maxonでは、標準的なカタログ品だけでなく、それをベースとしたカスタマイズ、例えば、ケーブル長の変更やシャフト加工にも対応しています。さらに、お客様のご要望に応じて、最適な “ソリューション” を提案することも可能です。本コラムでは、その一例として、真空環境下で使われる位置決めステージについてご紹介します。
真空環境は、半導体製造や研究開発において欠かせない要素です。
例えば最先端の半導体露光装置は、波長13.5nm のEUV(Extreme Ultraviolet)が用いられることから、その光路は超高真空中であることが求められます(図1)。また、電子線を使った検査装置や描画装置においても同様に電子線とガス分子の衝突を避けるために高真空以上の環境が求められます。
図1:EUV露光装置の簡単な概念図
このような装置では、光学部品のアライメントをするため、チャンバー内で機械的な機工を動作させ、精密な位置決めを行う必要があります。
これを実現するために、モータなどの駆動源をチャンバー外に設置し、回転導入機等を使って機工を動作させることがあります(図2)。
このような場合、駆動源となるモータのサイズが大きくなることで、システム全体が大掛かりなものになる可能性があります。また、モータを使用しない場合でも、回転導入機を介して手作業で調整が必要となる場合もあります。
図2:駆動源をチャンバー外部に設置した場合と内部に設置した場合の位置決め装置の概念図
この問題を解決するために、駆動源を含めた位置決め装置をチャンバー内に設置することが考えられます。
一方で、生産効率の向上のためには、目標とする真空度の達成までの時間を短縮することが求められます。これを実現するためには、チャンバーの大きさを可能な限り小型化し、構成部品の材料から発生するアウトガスを抑制する必要があります。特にアウトガスについては、表面積の影響が大きいため、位置決め装置を小型化する必要があります。また、チャンバーをベーキングすることで内部のガスを除去できるため、ベーキングの温度に耐えられる位置決め装置が理想的です。
図3:maxon マイクロリニアステージ
maxonの小型リニアステージのご紹介
弊社が開発した小型リニアステージは、maxonが得意とする小型高出力モータを使用しており、最小でサイズが50.3×13.5×12.3mmです。ストロークは20mmになります。真空中での使用に最適化することも可能で、低アウトガス材料への変更やベーキングに対応も可能です。この最適化では、使用するグリスの変更、ケーブルの材質の変更、表面クリーニングの実施、特別なパッキング等を行います。
また、機械的な仕様、例えばストロークや耐荷重等はカスタマイズが可能です。
今後、マクソンジャパンは我々のDCモータをコア技術として、リニアステージだけでなく、業界のニーズに応えるソリューションを提供できることを目指していきます。
(TAYA)