1. HOME
  2. BOOK
  3. 実例:モータの選定(整流とベアリングシステム)

BOOK

The selection of high-precision microdrives

実例:モータの選定(整流とベアリングシステム)

単純構造のファン
ファンやブロワの要求条件は非常に特異です。単純な装置では、モータは、定速度、低負荷で回転します。オープン・ループ制御回路によって動作し、印加される電圧がモータのスピードを決定します。

整流とベアリングの選択
― 最も単純で最も経済的な解決策は、貴金属ブラシと焼結ベアリングのDCモータです。 電流負荷とベアリング負荷(非平衡)が十分低い場合、予測製品寿命は20,000時間以下が可能です。
― より高負荷の場合、グラファイトブラシとボールベアリングを検討します。
― 最大製品寿命は センサなしでも動作できるブラシレスDCモータ(ECモータ)で実現できます。経済的な他の選択肢: センサレスフラットモータ
同様の用途の実例としては、連続動作する単純なポンプ、光学ドライブ(例えばバーコードスキャナ、レーザー水準器、プロジェクタ)内のミラーやカラーフィルタホイールの回転用ドライブが含まれます。

ATM(現金自動支払機)のスライド装置
転がりスライド装置は、ATMの支払い端末で現金を搬送します。一日あたりの現金引き出し回数は平均200回であり、ATMの製品寿命の期待値が10年とすると、1サイクルあたり最大5秒で約150万サイクルとなります。これは実動作時間にして約2,000時間に当たります。

整流とベアリングシステムの評価・選定
― 製品寿命の期待値要求は高いが、極度に高くはない
― 周期的動作は両回転方向
― 代表的用途はグラファイトブラシとボールベアリングのモータ(表7.2参照)
― 焼結ベアリングと貴金属ブラシは双方向周期動作には不向き
― ブラシレス整流(ECモータ)は要求動作寿命の実現に必ずしも必要ではない(表7.1参照)
同様の用途の実例としては、操縦装置、サーボ装置や製品寿命の期待値が極度に高くない装置です

位置決め用リニア軸
製造工程用の機器は、一般に最小限のメンテナンスで長い動作寿命を保証するブラシレスモータを備えます。これらのドライブは高精度制御されるため、電気的整流のための追加コストは選定プロセスにおいて大きな意味は持ちません。代表的な動作条件は、数秒の周期で双方向の起動・停止動作および24時間運転です。

整流とベアリングシステムの評価・選定
― 動作時間と動作周期における製品寿命の期待値が非常に長い
― 周期的動作が双方向の回転
― 長寿命を実現するには、ブラシレスモータとプリロードボールベアリングが必要。一般にはフィードバックセンサとの組み合わせ

研磨盤とフライス盤
歯科作業台上の加工や彫刻装置のような用途では、50,000rpm以下の回転速度を要求する研磨ホイール、フライス盤、ドリルを利用します。これらの機器は回転数制御され、頻繁にハンドピースを装着します。

整流とベアリングシステムの評価・選定
― 高回転要求を実現できるのはブラシレスモータだけです。初期の起動プロセスはあまり重要ではなく、したがってセンサレス矩形波整流が利用できます。
― 回転数制御の要求精度は比較的低く、モータ誘導電圧(EMF)の回転数制御で十分です。
― 研磨プロセスでは、ベアリングに対し強いラジアル荷重がかかるため、ボールベアリングの利用が必要になります。プリロードボールベアリングはノイズの発生を抑え、製品動作寿命を延ばします。

回転広告掲示板ドライブ
広告を回転させ、規定の時間間隔で変更させる回転広告掲示板は、1カ所で注意を引き付け、何枚かの広告を表示することができます。ドライブの代表的な動作は、24時間稼働で10秒(例えば2秒オン、8秒オフ)間隔の周期的スタートストップ動作です。製品動作寿命10年とすると、これは約3,000万サイクル、オン時間合計17,500時間となります。

整流とベアリングシステムの評価・選定
― 製品動作寿命の要求は非常に長い
― 周期的動作は両回転方向
― 製品寿命の期待値を実現できるのは、おそらくブラシレスモータとプリロードボールベアリングのみ。
― 負荷の低回転数向けにセラミックギアヘッドを考慮。
― 制御システムの留意点: ギアヘッド減速比が十分高いと仮定すると、整流用のモータホールセンサのフィードバックは位置決め上、十分と考えられる。