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The selection of high-precision microdrives

1.マイクロドライブの概要(3)

1.4 出力の留意点
モータドライブは、入力された電気エネルギーを機械的エネルギーに変換します。通常、ドライブトレーン内にエネルギーは蓄積されないため、システムに必要な機械的出力分の電気的エネルギーを入力しなければなりません。出力はドライブシステムによって決まる一定値となります。しかし、ここで忘れてはならないのは、単純なケースでは、使用される部品の効率によってエネルギー変換が決まり、そのエネルギー変換中に損失が発生することです。言い換えれば、最終的に利用される以上の電気エネルギーをシステムへ入力する必要があります。実質的に物理的出力は常に2つから成り立っています。
電気的入力(電力) 電流×電圧
機械的出力(回転) 角速度(回転速度)×トルク
機械的出力(直線運動) 速度×力
電流が力(トルク)に比例する場合、電圧は回転速度に密接に関係します。ドライブが正しく動作するには、回転速度とトルクの両方の要求を満たす必要があります。要求される回転速度、要求されるトルクのどちらも実現する必要があるのです。ミスしやすい代表例は、DCブラシレスモータで出力レートだけを考慮してしまう場合です。高回転仕様のモータは出力で見れば確かに高出力ですが、この高回転がシステムに必要ない、または不適切(ギアヘッドとの組み合わせなど)な場合は、必要なトルクが出ないということが往々にしておきます。
とは言っても、ドライブシステムを設計する上で、出力は重要な指標であり、実装条件(例えば実際の減速比)が別に細かく決まっているにもかかわらずモータ選定時には、どのくらいのモータが必要なのか目星がつきます。しかし、それだけで選定の判断基準とするべきではありません。というのは、最終的な必須条件は、回転速度とトルクの両方を満たすことだからです。

1.5 時間軸上で見たドライブ処理
ドライブの多くの課題を考える上で時間軸は重要です。最も重要な変数はおそらく、動作の実行時間でしょう。この時間はモータの加速能力、慣性モーメントおよび機械的時定数により決定されます。他の処理にかかる時間は、この変数に関連して検討されます。

図1.7:ドライブシステムにおける時間と周波数帯域の代表例図1.7:ドライブシステムにおける時間と周波数帯域の代表例

機械的時定数
定電圧駆動ではDCモータは、機械的時定数によって指数関数的に加速します。これは、以前より、無負荷、定電圧を想定して計算されています。マクソンモータの機械的時定数の代表値は、2~50msです。仮に停動トルクを使い加速度最大で1,000rpmに到達する場合、モータのタイプ、サイズにも依ります。約0.5~10msと算出されます。ネオジウム磁石採用の比較的小径のモータ(RE,EC,EC-max)では、加速はさらに急峻にできます。特に慣性負荷の追加分を考慮すべき場合、2,3ms以内の動作は、通常は実現できないということが最も重要な点です。非常に動的なドライブでも機械的に反応するには、一般に数msが必要です。

位置とスピードコントローラのクロック周波数
ドライブの速度や位置を効率よく制御するには、それに応じてミリセカンド毎に新たな設定値を決め、実測値と比較すれば十分です。そのため、位置制御、回転数制御用のデジタル回路のクロックは通常、1kHzです。

電流コントローラのクロック周波数
モータを動的に反応させるため、できるだけ早く、位置や速度の補正に必要なトルクに達しなければなりません。そのため、電流制御回路のクロックは約10倍の10kHzです。

モータの電気的時定数
モータの電気的時定数は電圧を加えた場合の電流の反応時間を示します。コアレス低インダクタンスのマクソンモータでは、電気的時定数は、端子間インダクタンスと端子間抵抗Rから算出され、比較的小さい値となります。最も小型のマクソンモータの場合、その値は50μS以下、中型で約150μsです。よって、電流は非常に短い時間(機械的反応の100倍短い)で最大値に達します。そのため電流制御のクロック周波数は高く、これにより反応は動的になります。

パルス幅変調(PWM)周波数
PWM周波数は、PWM周期内でリップルの影響を電流が受けすぎないよう、決める必要があります。この電流リップルは、不要なモータ温度上昇を招き、電流制御回路の安定化に逆効果となります。コアレスのマクソンモータの電気時定数は非常に短く、高いPWM周波数が必要です。マクソンのコントローラのPWM周波数は通常、39~60kHzです。さらに、低インダクタンスのモータには、追加のインダクタンスが電流の反応を減衰させます。マクソンのコントローラには通常、モータチョークが組み込まれています。

整流間隔
PWMクロック時間や電気時定数に比べ整流間隔、つまり各巻線への導通間隔はかなり長くなります。コミュテータ・セグメント数9個を持つブラシ付DCモータが6,000rpmする場合、整流間隔は約0.5msとなり、高速ブラシレスモータが25,000rpmする場合、整流間隔は0.4msとなります。

モータの熱時定数
熱時定数は、モータの温度上昇カーブ(図4.8)の指数関数的な特性を表します。巻線部の時定数とステータの時定数は異なります。最も小型のマクソンモータの場合、巻線部の時定数は1秒以下であり、最も大型の場合、約1分に達します。これは、短時間の過負荷電流(図7.6)の影響をモータがどれだけの時間、受けるかを示します。巻線部には、2、3秒経過後に最高温度に到達します。ステータの時定数は、数分に及びます。これらはモータ全体の温度上昇を表します。最終的な温度に達するまでには、時定数の4、5倍の時間がかかります。その結果、モータによっては温度の安定するまでの時間が1時間に達する場合があります。

ホストシステムとの通信
ホストとコントローラ間の通信速度の大部分は、選択されたリンクの(応答時間を含めた)転送レートによって決まります。CANのような高速フィールドパスの場合、転送レートは1Mbit/sに達し、個々のコマンドの転送時間は0.1msを若干、上回る程度です。これにより、数カ所のノード間の情報交換は1msで可能になり、同期できるようになります。RS-232シリアルポートのようなリンクはかなり遅く、情報を実時間で転送することができず、コマンド受信に数msかかります。数軸のモータを別々に動作させる大部分の用途では十分ですが、同期させるには十分ではありません。

多軸間の高度な協調動作や動機をかける動作は、CAN以上に高速なバスシステムを使う場合もあります。