10.マクソン 選定プログラム(2)
10.2 負荷入力
同じ最低限の入力コンセプトはまた、負荷要求の入力でも適用されます。多くの場合、ドライブのおおよその解決策を得るためには、連続動作の動作点は1点を考えれば十分です。MSPでは、直線運動で力と速度を入力する場合、負荷条件を定義する最も単純な方法は回転数とトルクの2つの値を入力することです。
周期的または断続的な動作は、特定の周期でのピーク負荷値を追加することによって容易に特徴づけることができます。この負荷入力モードは、4パラメータを集約した形式で、[Cyclic]ボタンをクリックすることによってユーザが負荷周期を入力できるようになります。
ここで第3の選択肢として、動作パラメータを使用して、詳細で完全な負荷周期を表すため、組み合わせ可能な動作特性を前もって定義します。このプログラムは自動的に、最大スピード、有効最大トルク(出力)等の重要パラメータを、質量慣性モーメントの加速を考慮し、算出します(図 10.3)
10.3 可能性のある解決策およびフィルタのリストアップ
負荷が定義されたら、マクソン選定プログラムは、入手可能な電源で負荷要求を満足できるマクソンモータ-ギアヘッドの組み合わせを特定し、可能な解決策を一覧表化して表示します(図 10.4)
画面の最下部に、選定されたモータおよび他のフィルタ条件に適合するコントローラをリストアップします。
図 10.4:解決策をリストアップする画面イメージ
センサ及びコントローラのフィルタは上部([Control]をクリック)に、負荷及びモータ電圧のフィルタは左部に設定されています。解決策をグラフィカルに素早く評価するための図が画面左下部に表示されます。連続動作範囲は赤で、実現可能な短時間動作範囲は白で表示されます。動作点と回転数-トルク直線は黒で表示されます。
このプログラムは通常、複数の解決策を出しますが、同様の特定の働きをする上で全ての解決策が同じように適正というわけではありません。このプログラムが提供する重要なデータ、例えばギア減速比、モータ負荷率、要求電圧と電流に基き、ユーザが解決策を評価します。多様なフィルタ機能を利用し、ユーザは用途に応じた最適な選択肢を選定することができます。左下の簡易特性図は、実現可能な連続動作範囲と短時間動作範囲の動作点を表し、解決策を素早く評価するために視覚的に支援するツールとなります。当然のことですが、電源、コントローラ、ギアの性能限界も、この図で検討します。安全性要因は、最小限の要求条件での回転数-トルク直線と入手可能な最大電圧での回転数-トルク直線の間の距離から得られます。
後からまたは異なるロケーションで再検討できるようにするため、全てのパラメータとフィルタ設定条件は保存することができます。これによって、カスタマとマクソンセールスエンジニアの間で容易にコミュニケーションできるようになります。例えば、カスタマはドライブの課題を定義することができ、解決策の一覧表から予備選定することができ、後でマクソンセールスエンジニアと打合せすることができます。最適な解決策の評価と選定には、マクソン製品を熟知している必要があるため、マクソンセールスエンジニアと相談しながら進めることを推奨します。
10.4 データシート
選定するユニットは、包括的なデータシートで表され、保存されます。データシートの1ページ目は、重要なデータを図で詳細に表した全体像であり、そこに追加情報を表示することができます(図 10.5)。次のぺージでは、モータおよびギアヘッドの負荷入力とデータシートを編集します。最後のページは、選定したコントローラとそれに合致するセンサ(例えば、エンコーダ)を表します。
図 10.5:データシート上のドライブ解決策の図解
10.5 その他の機能: カタログデータ、比較、慣性計算ツール
状況によっては、既に使用中のドライブユニット(モータ、モータ-ギアの組み合わせ)が新たな役割も実行できるかといった課題も生じます。デバイスの要求条件が変化した、またはドライブの既存の構成要素が別の用途に必要になったという単純な理由などからです。ここでは、もはやドライブの単なる選定という問題ではなく、負荷のかかった状態で可能な回転数とトルクの問題と言えます。これは負荷計算モード[Load calculation]で実行されます。
比較モード[Comparison]では、入力されたドライブに類似する、ギアヘッド-モータの組み合わせを、マクソン製品群から探します。比較は、組み合わされた回転数-トルク性能に基いて実行します。この機能によって、例えば、製造中止になったモータの場合や、他のなんらかの理由で要求を満たさない場合(製品のサービス寿命等)の適切な代替手段を素早く探し出すことが可能になります。
慣性計算ツールは、質量または慣性モーメントの入力が必要になった場合、プログラムのどの時点でも呼び出して使用することができます。異なる部品を組み合わせた物体の慣性モーメントの算出は難しいことで知られていますが、この機能は、質量やそのような慣性モーメントを計算します。部品は寸法、回転軸からの距離、材料の密度で特徴づけられます。そして、計算される慣性モーメントは適正な入力フィールドに自動的に入力されます。この便利な慣性モーメント計算ツールは、メイン画面の入力と関係なく、別に呼び出すことができます。
10.6 技術情報
マクソン選定プログラムはオンラインで使用できます。
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11章につづく。