センサレス仕様のブラシレスモータには、ホールセンサ内蔵仕様と比較して、どのようなメリットやデメリットがありますか
ブラシレスDCモータでは、制御上、何らかの方法でロータ位置を検出する必要があり、これをホールセンサなどの位置センサで行う場合と、センサを用いずに行う場合があります。後者に対応したモータがセンサレス仕様で、ホールセンサを内蔵していません。
センサレス仕様のメリット:
(1) ケーブル本数を削減でき、信頼性が向上する(断線やセンサ故障のリスク減)
(2) ケーブル本数やコネクタ削減による省配線・省スペース化
(3) センサ位置の調整作業の削減や、モータ本体および制御機器の小型化によるコストダウン
(4) センサを内蔵しないので、過酷な使用環境に適する(高低温、高湿、衝撃、電磁波など)
センサレス仕様のデメリット:
(1) 駆動のための制御が複雑で、開発工数もかかる(少量生産には開発コストの観点で不向き)
(2) 低速時は誘起電圧が低いので、起動・停止の際の制御が困難
→ 一定の加速度・トルクで起動・停止することが困難なため、位置制御やトルク制御には不向き
→ 電源投入時にステッピングモータと同様な復帰動作が必要で、正逆運転に向かない
※マクソン製のe-bikeドライブのように、始動時からセンサレス制御を可能とする方法はあります
(3) ロータ位置推定用の制御ループが追加されるため、演算処理数が増え、応答性や最大回転数が下がる
(4) モータ固有値(抵抗、インダクタンスなど)のばらつきが、制御誤差として現れる