コラム:高い慣性モーメントの動的なブレーキング
位置決め動作の最終部分のように、高慣性モーメントを急速に減速する場合には、負荷からの大きなエネルギーを短時間に放散しなければなりません。ほとんどのコントローラはこのエネルギーを一時的に蓄積することができないため、電源に戻そうとします。都合の悪いことに、モータに適用される電圧とモータが発生する電圧の極性は同じです。この状況では、DCリンク電圧はコントローラの最大許容供給電圧を超える可能性があり、超えた場合は過電圧保護機能によりコントローラが停止します。
可能な対策は簡単な順に
- 要求動作点に必要な電圧およびコントローラの最小電源電圧まで余裕がある場合、電源電圧を減少。
- 運転サイクル時間などに余裕がある場合、減速度を減少。ステップブレーキング、電流制限や、デジタルコントローラの最大許容減速値の設定によって実現可能です
- 静電容量の高い電源の利用
- 電解コンデンサのリンク内への追加(一般に数mF)
- シャントレギュレータの利用。電解コンデンサだけでなく、過剰なブレーキングエネルギーを除去するスイッチ抵抗を含みます(マクソン製品にラインナップ)
図 9.2:過剰なDCリンク電圧の追加対策の模式図
a) リンク内への追加電解コンデンサ(数mF)
b) リンク内への追加シャントレギュレータ