実例:断続的動作の実例2例
最大電流
下図に示す負荷周期の場合、許容ピーク電流と許容ピークトルクはどうなるのでしょうか?
モータ条件は、定格電流 IN = 294 mA、トルク定数kM = 10.4 mNm/A、巻線熱時定数τw = 5秒です。 公称電圧での停動トルクは、11.1 mNmです。
図 4.10: 非常に短いON時間で断続的に動作する複雑負荷周期
負荷は2つの重ね合わせた周期からなり、一つは非常に短いON時間(0.05秒)の高速な周期であり、他方はより長い周期(ON-OFFの6回の繰り返し後 5秒間の休止)です。両者とも巻線の熱時定数(5秒)より短く、巻線には平均電流値が流れます。ON周期時間の合計が0.55秒と短いため、これらの周期内での温度変動は無視できるほど小さくなります(数度K)。
したがって、周期全体にわたり平均化された電流の実効値は、
過熱を避ける条件は、
また、この時のトルクは、
解説
最大トルクと電流の計算値は、定格トルク、定格電流よりかなり高くなります。これらは、停動トルクや、モータの起動電流すら上回っています。モータの動作寿命に与える逆効果が予想されます。
最小OFF時間
マクソン モータ RE 30(最大連続トルク 85 mNm)は、下図に示すトルクカーブで動作します。50msのON時間にわたって平均化された実効トルクは、約300 mNmです。
毎分何回の動作周期が可能でしょうか?
(ストレージ型オシロスコープで計測された電流値からトルクカーブを算出)
ON時間(0.05s)はこのモータにとって非常に短時間です。ON時間中の実効トルク値をMonとすると、
したがって全周期時間は620 msとなり、毎分の動作周期の回数は、
となります。